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国立研究所データからみるバックインパクトの身体に及ぼす効果  最終調査結果 chapter18

2014-10-27

バックインパクトの腰痛に対する効果の最終調査結果

 

西薗秀嗣1) 島典広2) 中本浩揮3) 河端将司3)

1鹿屋体育大学スポーツトレーニング教育研究センター
2鹿屋体育大学体育学部
3鹿屋体育大学大学院体育学研究科

 

腰痛は、腰部における筋持久力の低下や姿勢保持筋の活動の低下によって生じる (McGill, 2002)。

事実,慢性腰痛患者では、脊柱起立筋の持久力が低下しており (Ng & Richardson, 1996; Umezu et al, 1998)、

姿勢保持に関わる腹横筋の筋活動が健常者よりも劣ることが報告されている (Hodges, 1996)。
つまり、腰部の筋持久力を保持することや姿勢保持筋の筋活動を促進することは、

腰痛予防や腰部疾患の進行を抑制することになる。

 

本研究において、バックインパクト装着状態では、

脊柱起立筋の筋持久力テスト後の姿勢動揺が少ないことが示された。

腰部の疲労状態は姿勢制御の低下につながることから(例えば,Vuillerme et al, 2002, 2006)、

筋持久力テスト後には姿勢の動揺は大きくなる。

 

つまり、バックインパクト装着時の姿勢動揺が少ないという結果は、

バックインパクトが脊柱起立筋の持久力保持に貢献したことを示す。

先行研究において、腰痛ベルト(コルセット)は筋活動を補助することによって、

脊柱起立筋の筋活動量を低下させ疲労を軽減させることが報告されているが(例えば,Cholewicki, 1999, 2004)、

バックインパクトが他のサポーターに比べても姿勢動揺が少ないことを考えると、

バックインパクトは、より効果的に筋活動を補助していたことが示唆される。

 

 

また、腰部疾患の患者においては、

姿勢保持筋の一つである腹横筋の活動が遅延するため (Hodges & Richardson, 1996; Richardson et al., 1999)、

転倒、転落などの外乱に対して脊柱の安定性を保持することができない (McGill, 2002)。

そのため、腹横筋の活動の遅延は腰部の疾患を悪化させる。

 

しかし、これに対し、本研究ではバックインパクト装着状態では外乱に対する腹横筋の活動が促進されることが示された。

バックインパクトはスポーツなど「動く」ことを前提に施されるテーピング処置に基づいており、

動きを制限する腹部への過度の圧迫を避けるために、腰部を外側から脊柱方向へ牽引する構造になっている。

 

このような牽引は、腹横筋や腹斜筋の伸張作用に働くと考えられるが、筋の適切な伸張は筋の反応を高める (Muraoka, 2004)。

つまり、バックインパクトは、腹横筋の伸張作用が生じる構造になっており、

これによって、姿勢制御筋の中でも重要な腹横筋の活動が促進されたといえる。

 

以上、有効性を検証するための実験を行い、海外の研究成績と比較検討した結果、

バックインパクトは、腰部疾患の原因となる腰部の筋持久力低下や姿勢保持筋の筋活動低下を改善できるため、腰痛の予防や腰部疾患の進行を抑制するために有効なサポーターといえる。

国立研究所データからみるバックインパクトの身体に及ぼす効果 chapter17

2014-10-18

 

D. 実験結果
図2には、体幹保持テスト直後の10秒間の重心動揺の軌跡を示した。

この総軌跡長を6名の平均値(標準誤差)で表したグラフを図3に示す。

体幹保持テストを行う前の安静立位の値を100%で正規化することで、日間変動によるバイアスを除去し、

体幹保持テストによる疲労の影響について検討した。

対応のある二要因分散分析の結果、交互作用が認められ(p < .10),Tukeyの多重比較の結果、

15分後のバックインパクト(腰痛ベルト、コルセット)と他の条件との間に単純主効果が認められた (p < .10)。

 

 

図2.疲労課題直後の重心動揺の軌跡(1例)

実験画像2 データ画像3a

図2.疲労課題直後の重心動揺の軌跡(1例)  図3.重心動揺の総軌跡長の経時的変化

 

 

E. 考察

本実験では、2分間の体幹保持テストを行わせ腰部の疲労状態を作り、

その後の重心動揺の経時的変化を検討した (Davidson et al, 2004).一般的に腰部が疲労することで姿勢制御が低下すると報告されている(例えば,Vuillerme et al, 2002, 2006)。

これは筋疲労による固有受容器系の変化と中枢性の運動制御の変化によるものと考えられている(例えば,Taylor et al, 2000)。

また、これまでの腰痛ベルトに関する先行研究によると、腰痛ベルトが筋活動を補助することによって、

脊柱起立筋の筋活動量が低下するという報告が多く見られる(例えばCholewicki, 1999,2004)。

 

実験の結果、
交互作用が認められ、15分後においてバックインパクトが他の条件よりも有意に低値を示したことから、

サポーター着用が重心動揺の経時的変化に影響を及ぼしたといえる。

このことは、筋疲労によって低下した姿勢制御筋の機能をバックインパクトが補助したためといえる。

また、体幹保持テスト中の筋活動をバックインパクトが補助することによって筋疲労が軽減され、

重心動揺の総軌跡長が小さくなった可能性がある。

 

 

 

この実験は、
鹿屋体育大学スポーツトレーニング教育研究センター
鹿屋体育大学大学院体育学研究科

西薗 秀嗣教授ならびに
中本 浩輝、河端 将司らにご協力願いました。

国立研究所データからみるバックインパクトの身体に及ぼす効果 chapter16

2014-10-18

全ての研究データからの

腰痛サポーター(腰痛ベルト、コルセット)が身体に及ぼす効果について

実験2バックインパクトは姿勢保持筋のコーディネーションを促進するか?

実験方法

A. 被験者
被験者は健常男子大学生6名(年齢22.9±3.8歳,身長170.1±5.1 cm,体重62.2±5.8 kg)で、

全例が大学体育学部に所属する者であった。

 

B. 実験の手順

まず地面反力計上で30秒間の閉眼閉脚立位をとり、安静時の重心動揺を測定する。

その後、脊柱起立筋の疲労課題として、

Biering-Sorensen (1984) が提案した体幹保持テスト (Trunk holding test) を用いて、

下肢・骨盤を固定した状態で2分間の体幹水平保時を行った(Fig3)。

その後、課題直後、5分後、10分後、15分後でそれぞれ同様にして閉眼閉脚立位での重心動揺を測定した。

本実験は筋疲労を伴う実験であるため、試行間で3日以上の間隔をあけて一日1試行ずつ、

サポーター無し、既存のサポーター、バックインパクトの3条件をランダム化して実施した。
Fig3. 2分間の体幹保持テスト

 

C. 測定項目(重心動揺)および測定方法

重心動揺の指標は、足圧中心 (COP: Center of pressure) の10秒間の移動距離を総軌跡長として求めた。

測定には、地面反力計(9286型,Kistler社製)を用い、XYZの3軸方向への地面反力を計測した。

地面反力データは16ビットのA/D変換器(Power-Lab/16s, AD Instruments社製)を介して、

分析ソフト(Chart 5.11, AD Instruments社製)を用いて総軌跡長を算出した。

式は以下の通りである。

【計算式】について

【式】: 総軌跡長=√{(Xi+1-Xi)^2+(Yi+1-Xi)^2}

X=(Fx*az0-My)/Fz Y=(Fy*az0+Mx)/Fz

※X:圧力中心店のX座標
Y:圧力中心店のY座標
Fx:左右方向力(Fx12+Fx34)
Fy:前後方向力(Fy14+Fy23)
Fz:垂直方向力(Fz1+Fz2+Fz3+Fz4)
Mx:X軸回りのモーメント{b*(Fz1+Fz2- Fz3-Fz4)}
My:Y軸回りのモーメント{a*(-Fz1+Fz2+Fz3-Fz4)}
az0=-22mm, a=175mm, b=275mm, (9286型の場合)

 

次回は、結果を報告します。

 

この実験は、
鹿屋体育大学スポーツトレーニング教育研究センター
鹿屋体育大学大学院体育学研究科

西薗 秀嗣教授ならびに
中本 浩輝、河端 将司らにご協力願いました。

 

国立研究所データからみるバックインパクトの身体に及ぼす効果 chapter15

2014-10-17

D. 実験結果について

上肢挙上動作開始から腹横筋の活動開始までの潜時について、

サポーター無し、既存のサポーター、バックインパクト(腰痛ベルト、コルセット)の平均値を図1左に示した。

バックインパクト着用時の腹横筋の筋活動開始時間は他の条件よりも早期化したため、

サポーター無し条件を基準にした場合のサポーターあり条件の各被験者の反応潜時に関して(図1右)、

フリードマン検定を用いて各条件を比較した。

その結果,3群間に有意な差が認められ (χ2 = 6.3, p < .01),ウィルコクソンの符号付順位検定を行ったところ、

ザムストとバックインパクトの間の筋活動開始時間に有意な差が認められた (p < .05)。

一方,外腹斜筋と脊柱起立筋についてはいずれも各条件間で有意差を認めなかった。

 

 

実験画像1

 

 

E. 考察

慢性腰痛者は受動的な外乱に対する脊柱の安定性確保が困難であるとされている(Panjabi, 1992; Oxland et al. 1992)。

上肢挙上動作においては、上肢動作が開始される前に体幹筋の先行的な活動によって体幹を固定させることが要求されるが、

慢性腰痛者では腹横筋が特異的に遅延していると報告されている (Hodges,1996)。

このことから腰部障害と腹横筋の機能不全とは密接な関係にあることが示唆されている (Henry and Hodges,2007)。

本実験では、その腹横筋活動開始時間がバックインパクトを着用することで早期化されたことから、

バックインパクトが腹横筋の収縮に対して効果的に働いたと考えられる。

筋腱複合体の直列構成体は緩んでいる時よりも伸張されている時の方が筋活動の潜時が短いことから(Muraoka, 2004)、

本実験ではバックインパクトの補助ベルトによる牽引力が胸腰筋膜を介して、

腹横筋を伸張させたことによって活動開始時間が早期化したと推察される。

この結果は健常人を対象としたものであるが、慢性腰痛者の腹横筋が特異的に遅延していることを考慮すると、

バックインパクト着用よる腹横筋活動の促進効果は非常に興味深い知見と考えられる.

 

この実験は、
鹿屋体育大学スポーツトレーニング教育研究センター
鹿屋体育大学大学院体育学研究科

西薗 秀嗣教授ならびに
中本 浩輝、河端 将司らにご協力願いました。

 

 

 

 

国立研究所データからみるバックインパクトの身体に及ぼす効果 chapter14

2014-10-17

目 的
今回の実験では,新型腰痛ベルト(コルセット)の機能的な効果を探るべく、

外乱に対する体幹筋の活動開始までの潜時や、

筋疲労課題後の身体重心の動揺性 (姿勢保持) といった側面から新型ベルトと従来型ベルトの効果を比較する。

 

バックインパクト(腰痛ベルト、コルセット)は姿勢保持筋の反応を促進するか?

実験方法

A. 被験者

被験者は健常男子大学生6名(年齢22.9±3.8歳,身長170.1±5.1 cm,体重62.2±5.8 kg)で、

全例が大学体育学部に所属する者であった。

 

B. 実験の手順 (Fig1)

被験者の姿勢保持に外乱を与えるために右上肢挙上動作を行わせた (Hodgesら, 1997)。

被験者は前方1mの光呈示ランプの前で安静立位を保ち、光の点灯に対して右上肢挙上45度を目安にできるだけ素早く挙上した。

被験者はこの課題をサポーターなし、バックインパクト、他社サポーターの3条件を各10回ずつ、計30回行った。

条件の順序は被験者間でランダム化した。

 

C. 測定項目(筋電図)および測定方法

右上肢挙上課題中の身体右側の腹横筋-内腹斜筋(TrA-IO : Transversus abdominis-internal oblique)、

外腹斜筋(EO : External oblique)、および脊柱起立筋(ES : Erector spinae)の活動電位を導出した。

電極貼付部を除毛しアルコール綿で払拭した後、サンドペーパーで擦り電極間皮膚抵抗を落とした。

2個の表面電極(銀-塩化銀,直径5mm)を電極間距離2cmにて両面粘着カラーを用いて固定して貼付した。

貼付部位は,TrA-IOが上前腸骨棘から約2cm内下方 (Kulas, Schmitz, Shultz, Henning, & Perrin, 2006)、

EOが臍の高さと前腋窩線との交点、ESが第3腰椎棘突起より約3cm外側とした(Fig2)。

本研究でのTrA-IOの貼付部位は、解剖学的に腹横筋と内腹斜筋が融合しており、

また外腹斜筋に覆われていない部位として表面筋電図から導出可能とされている (Marshall & Murphy, 2003; McGill, Juker, & Kropf, 1996)。

導出した筋電図信号(EMG)は生体アンプ(AB-621G,日本光電社製)を用いて時定数0.03秒,高域通過1000Hzで増幅した。

データを記録後,オフライン上にて帯域通過10-500Hzで処理を行った。

また、電子ゴニオメーターを肩関節に取り付け、上肢挙上動作の開始時点を同定した。

これにより、上肢挙上動作開始から,体幹筋の活動開始までの潜時を計測した。

 

実験画像11        実験画像12
Fig1. 実験の様子                      Fig2.筋電図の貼付部位

 

次回は、結果を報告します。

 

 

この実験は、
鹿屋体育大学スポーツトレーニング教育研究センター
鹿屋体育大学大学院体育学研究科

西薗 秀嗣教授ならびに
中本 浩輝、河端 将司らにご協力願いました。

 

 

国立研究所データからみるバックインパクトの身体に及ぼす効果 chapter13

2014-09-25

全ての研究データからの

腰部サポーターが身体に及ぼす効果について

 

西薗秀嗣 島典広2) 中本浩揮3) 河端将司3)

1) 鹿屋体育大学スポーツトレーニング教育研究センター
2) 鹿屋体育大学体育学部
3) 鹿屋体育大学大学院体育学研究科

 

緒 言
脊柱の安定性の促進は腰痛予防や治療に有益であるという見解から(例えば,Saal & Saal, 1989)、

体幹の筋力向上や腰痛ベルト(コルセット)の着用が推奨されている。

 

しかし、慢性腰痛患者では、

上肢挙上動作に先行する腹横筋の筋活動が健常者よりも遅延すること (Hodges,1996)、

脊柱起立筋の持久力が低下していることから (Ng & Richardson, 1996; Umezu et al, 1998)、

慢性腰痛患者には、筋力強化や腰痛ベルト(コルセット)による機械的な脊柱安定性の向上だけでなく、

筋活動の反応性や筋持久力といった機能的なサポートも要求されると考えられる。

 

今回開発した新型腰痛ベルト バックインパクトはここが違う!

今回の新製品は、腰部を広くサポートして腹部に直接的な圧迫力が加わりにくい設計となっており、

従来の腰部から腹部にかけて強固に圧迫する腰痛ベルトとは対照的といえる。

 

腹腔内圧や筋内圧を高めることは、脊柱安定性を確保する上で重要とされているが、

McGill & Norman (1987) は腹部ベルトの圧迫によって腹腔内圧を高めることは腰椎圧迫負荷の増加を引き起こす弊害もあると示唆している。

また、過度な腹部圧迫が不快感を招き,本来の動作を妨げる可能性も考えられる。 (Kingma et al, 2006)

 

バックインパクトの設計は

また新製品の腰痛ベルト(コルセット)は、腰部を固定するテーピングを再現するように設計されており、

腰部の2本の支柱と補助ベルトの締め付けによって、腰椎の生理的前彎の保持に貢献している可能性がある。

 

腰痛症を引き起こす原因の一つに腰椎屈曲位の持続やその肢位での反復動作が挙げられるが、

McGill の著書 (2002) によると、特に腰痛患者は「正しくない脊柱姿勢」の認識が乏しく、

腰椎の生理的前彎の概念を理解することが難しい。

そのため、本製品の着用によって無意識的に姿勢調整が行われれば、腰痛患者におけるこれらの問題を解決する手助けになるかもしれない。

 

さらに、この補助ベルトは腰部を外側から脊柱方向へ牽引することによって、胸腰筋膜を介して腹横筋や腹斜筋の伸張作用に働く可能性がある。

すなわち、側腹壁から前腹壁に横走・斜走する筋組織に適度な張りをもたらし、長さ―力関係に由来する効果的な筋収縮を可能にすると考えられる。

これらの腹筋群は脊柱安定性や姿勢保持に重要な機能を有していることから、これらが賦活化されることによって体幹の姿勢制御の改善が期待される。

 

以上のことから、

新腰痛ベルト(コルセット)が腰椎の生理的前彎の保持と体幹筋の生理学的促通効果を促すことによって、

腰部の機能的安定性が得られるのではないかと考えた

 

 

 

国立研究所データからみるバックインパクトの身体に及ぼす効果 chapter12

2014-09-16

重心動揺についての実験
腰痛患者は、疲労が蓄積された場合に、重心動揺が大きくなることが知られています。

そのため、健常者にトランクホールディングを2分間課すことで、

腰部の疲労状態を作り、重心動揺の経時的変化を検討しました。

 

図2は、立位での重心動揺の1分間の総距離について、安静立位を基準にしてまとめたものです。

直後では、疲労の影響を受け大きく動揺しますが、時間の経過とともに減少します。

 

重心動揺についての実験画像3

 

この減少に関して、サポーター(腰痛ベルト、コルセット)の効果を検討したところ、

15分後の重心動揺に関して、

バックインパクトは、サポーター無し及びザムストと比較して有意に安定しているという結果が得られました。

 

下図は、被験者一人の重心動揺の様子を表したものです。

明らかにバックインパクトの重心動揺が小さいことが見てとれます。

 

重心動揺についての実験画像2

 

 

この実験は、
鹿屋体育大学スポーツトレーニング教育研究センター
鹿屋体育大学大学院体育学研究科

西薗 秀嗣教授ならびに
中本 浩輝、河端 将司らにご協力願いました。

国立研究所データからみるバックインパクトの身体に及ぼす効果 chapter11

2014-09-10

腹横筋反応時間
腕の挙上運動開始から腹横筋の活動開始までの潜時について、

サポーター無し、ザムスト、バックインパクトの平均値とサポーター(腰痛ベルト、コルセット)無し条件を基準にした場合の

サポーターあり条件の各被験者の反応潜時を図1に示しました。

 

各サポーター条件の平均反応時間の間に意味のある差が認められるかどうかを検討するために、

一要因分散分析を行いましたが、これらの結果は有意ではありませんでした。

 

しかしながら図から見られるように、

全体的にバックインパクト < ザムスト < サポーターなしという関係が見て取れます。

 

そこで,数値自体の差ではなく、

各被験者の中でどのサポーターが一番素早い腹横筋の活動が見られたかの順位を用いて、

フリードマン検定を用いたところ、

3群間に有意な差が認められ (χ2 = 6.3, p < .01)、

ウィルコクソンの符号付順位検定を行ったところ、
ザムストとバックインパクトに有意な差が認められました (p < .05)。

 

今回の実験では、被験者は全てアスリートの健常者であったため、

サポーター無し条件でも十分に早い筋活動であり、これよりも短い反応を示したことは、

バックインパクトが姿勢保持に関わる腹横筋の活動を促進したといえます。

 

 

実験画像1

 

 

この実験は、
鹿屋体育大学スポーツトレーニング教育研究センター
鹿屋体育大学大学院体育学研究科

西薗 秀嗣教授ならびに
中本 浩輝、河端 将司らにご協力願いました。

国立研究所データからみるバックインパクトの身体に及ぼす効果 chapter10

2014-09-02

バックインパクト着用が持ち上げ動作時の腹腔内圧上昇量に及ぼす影響を明らかにすることの結果と考察についての

記事になります。

実験結果

バックインパクト着用および他社製品(腰痛ベルト、コルセット)着用における持ち上げ動作時の腹腔内圧の上昇量は、

腰痛ベルトなしの時に比べて減少する傾向が示された(図2)。

実験画像7 実験画像8 実験画像9

(図2)

実験の考察

これまでの持ち上げ動作における先行研究より、
腹腔内圧の上昇は体幹筋群の筋活動と共同して腰椎の安定性に貢献することが知られている。

また、体幹筋力の低下しているものは相対的に腹腔内圧の上昇が大きいことや、

疲労時の持ち上げ動作では腹腔内圧がより高く上昇することも知られている。

 

これらのことから、腹腔内圧は体幹筋の筋活動による腰椎安定化作用に対して、

補助的に働いていることが示唆されている。

 

これらの先行研究から本研究の結果を考察すると、ベルト着用による直接的な腰椎安定化作用の増大や、

腰痛ベルト着用が体幹筋の筋活動を賦活化させるなどの間接的な腰椎安定化作用の増大によって、

腹腔内圧の上昇による補助的な安定化作用の要求が減弱したと考えられる。
腹腔内圧は過度な上昇が要求されるとき、腰椎への過度な圧迫力を生じる可能性や、

呼吸機能の自由度が制限されるといった負の要素があることも示唆されている。

 

Cholewicki (2002) は腹腔内圧の上昇に依存した腰椎の安定化よりも、

むしろ腹腔内圧の上昇を抑えつつ体幹筋の筋活動によって、

安定化を得ることにメリットがあると提唱している。

 

よって、本研究において、ベルト着用により腹腔内圧の上昇が減少したことは、

相対的に少ない労力で効率的な持ち上げ動作を可能することを示唆する知見をとして、

有意義な結果であると考えられる。

 

【結論】


バックインパクトを着用することで、

持ち上げ動作中の腹腔内圧の上昇量が減少した。このことは、

少ない腹腔内圧の上昇量でも持ち上げ動作が遂行できたことを示唆している。

 

この実験は、
鹿屋体育大学スポーツトレーニング教育研究センター
鹿屋体育大学大学院体育学研究科

西薗 秀嗣教授ならびに
中本 浩輝、河端 将司らにご協力願いました。

国立研究所データからみるバックインパクトの身体に及ぼす効果 chapter9

2014-08-22

【目的】
バックインパクト着用が持ち上げ動作時の腹腔内圧上昇量に及ぼす影響を明らかにすること

 

【方法】
被験者は体育大学に所属する男子大学生2名とした(平均:23歳、176.9cm, 75.4kg)。

持ち上げ動作には、土台に取り付けられたチェーンに

、張力計(model 1296F, TAKEI Inst, Japan) を介して金属製の支柱を取り付けた機器を使用した(図1)。

 

実験画像10

(図1)

 

被験者は膝蓋骨上縁の高さで金属支柱を把持し、膝関節と肘関節の伸展位を保持したまま、

体幹前傾位から垂直に引き上げるように等尺性の体幹伸展動作を行った。

 

被験者は初めに最大張力発揮(MVC)を2回実施し、

得られた最大張力に対して25%、50%、75%MVCに相当する張力発揮をランダムで2試行ずつ行った。

 

設定した目標値の張力発揮が遂行できるように、張力モニターでフィードバックしながら行った。

これらの試行を3つの条件(腰痛ベルトなし、バックインパクト着用、他社コルセット着用)で、

ランダムに2セットずつ実施した。

 

各試行間には十分な休憩を入れ、疲労の影響を取り除いた。
測定項目は、持ち上げ動作中の腹腔内圧の上昇量とした。

 

腹腔内圧は圧センサー(直径1.6mm, MPC-500, Millar)を肛門から15cm挿入して直腸圧から得た。
持ち上げ動作で得られた腹腔内圧のデータは、各強度の平均値をプロットして回帰式を算出した。

 

次回は、結果報告をします。

 

この実験は、
鹿屋体育大学スポーツトレーニング教育研究センター
鹿屋体育大学大学院体育学研究科

西薗 秀嗣教授ならびに
中本 浩輝、河端 将司らにご協力願いました。

 

 

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